記憶 ―流星の刻印―
2・白い子虎
2・白い子虎
母さん、聞いて。
急に現れた白い子虎は、
何て事のない私の毎日に、
味わった事のない様な刺激を与えたわ。
ハラハラと、ドキドキ。
今日もシャンシャンという鈴の音を纏い、蒼い衣装で踊りながら、私はあの子を想ってる。
家の中にちゃんと居るかしら。
暴れてやいないかしら。
人に見つかって騒ぎになってやしないかしら…。
ねぇ、母さん。
もう大分懐いたのよ。
あの子は、もう私の物。
私の家族よ。
「ただいま」って、
私が家の戸を開けると、
猫みたいな声で返事をするわ。
虎が危険な獣なんて、嘘ね。
だって蓮も言ってたわ。
虎も猫科の動物だって…。
あれは、猫よ。
只の白い猫なのよ。
母さんも、
そう思うでしょっ?