記憶 ―流星の刻印―


まともな人間なら…
全員断る…?
それは、一体…


「…どんな内容だったの…」

「それは、私が話すより…」

ババ様の瞳が、
初めて朱理に向いた。


「…父上は彼に殺されましたが、彼が去った後、辛うじて息はありましたからね…。その限られた短い時間の中で、全て…僕に伝えてから…逝きました。」

初めて…
少しだけ辛そうな、人間味のある表情を朱理は見せた。


それから話し出した朱理の話を、私は素直に聞けたわ。

損得で動く冷血な男。
遠巻きに上から物事を見る、私の嫌いなタイプ。
持っていたその印象が、少しだけ変わったわ。


それは本当に…
世界を揺るがす内容だった。


「…星を渡る術って言っていましたけれど、その具体的な手段が書いてあった訳じゃない。ただの可能性です。」

朱理は深い溜め息をつくと、
呆れた様に首を横に振っていた。


「…僕は、そんな夢見がちな事を信じてはいませんし、彼は気違いだと思っています。その上で聞いて貰いたいんですが…」

「……誰もあんたの意見は聞いてないの!!早く話しなさいよ…青二才!!」

長い前置きに、花梨さんだけは終始イライラしていた。

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