記憶 ―流星の刻印―
そう朱理は瞳を落としてくれたけれど、
……違うの。
泣いているのは、
『私』じゃない…。
きっと、この涙は…
私の中の『龍神』の感情。
ドクン、ドクンと…
龍神の存在が、
私の中で大きく育つ。
それを打ち消す様に、
私は、泣きながら笑っていた。
「――気にしないで?朱理、続きを話して?その内容で、彼は何をどうしようとしたの?どうして、他の四獣の協力が必要だったの?」
「……あぁ…、えぇ。そうでした。すみません、ここから先が重要でしたね。」
『大地が溶け道が示されし時』
『道はこの地に眠る』
その2つの文章から、
彼は何らかの『星を渡る術』が、氷上の大地の『地下』にあると信じた。
遥か昔から溶けずに、
今も尚、
何ら変わりない氷の大地。
その全土を、
彼は、溶かそうとした。
「……大地を、溶かす?自分の国を、全部…?四彩華の4分の1在る面積を…!?」
「…馬鹿馬鹿しいでしょう?」
だって…
そんな事をしたら…。
それに、
少なからず1400年も溶けていない、厚い厚い氷の大地が…、人の力で溶けるものかしら!?
私は口元に片手を当てて、
1人で考え込んでいた。