記憶 ―流星の刻印―


私にとっては、
初めて聞かされた話。

でも、そこには8年という時差がある訳で、ここにいる皆にとっては過去の事。

私の頭の中を巡る疑問は直ぐに言い当てられ、1つ1つ解説が付けられた。


「…四獣を宿す者の妖術が強大だとしても、人が生み出せる力には限度がありますから、氷上を溶かすなんて無理なんですよ。」

「…そうよね…?」


「しかし、彼はそうは思っていない。彼が目を付けたのが…『朱雀』なんです。火を司る朱雀なら…、と。それで彼は今も尚、僕の力を求めている…」


朱理の父である先代の王は、それを断った故に殺された。

『朱雀の力を宿した「次の後継者」を、自分に取り込めば良い事だ。』

そう先代の王に言ったそうよ。


「…そして、その計画に反対する他の四獣の存在は、彼にとって邪魔だった訳です。」

「……邪魔…?」


「…仮に、氷の大地を溶かせたとして…。氷は大量の水になる。それは、四彩華の全土に流れ出るでしょう。それを阻止しようとする力があるとすれば…」


……え?
え?阻止、出来る力…?


「覚醒したばかりの、龍神の知識の無い揚羽さんには解りづらいかもしれませんが…。創世記を思い出して下さい。」



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