記憶 ―流星の刻印―
1つ目の流星は、
遥か北の大地に落ち、
赤土は冷気を纏った氷の大地に覆われた。
2つ目の流星は、
遥か南の大地に落ち、
赤土は長い歳月を炎に覆われ、
その地は広大な乾いた砂丘と化した。
「…それが、火を司る『朱雀の力』だとすれば、氷上の大地を溶かす事も可能だと、彼は考えている訳ですよ…」
3つ目の流星は、
遥か西の大地に落ち、
その衝撃で赤土の大地は裂け、
深く大きな渓谷が生まれた。
「…渓谷の地には、白虎が…。白虎は、大地の力を司ると聞いています。高低差のある深い渓谷を生み出すまでの力が、仮にあったとして…」
「……それが?」
「氷を溶かした後、『星を渡る術が地下にある』と考える彼は、大量の水は外に出したいでしょう?四彩華の他の地へ…」
あまりに恐ろしい内容に、
私は凍り付いていた。
意図的に、
外へ出す…?
そんな事をしたら…っ!!
「…まともな人間なら、止めようとするでしょう?白虎を宿す者も同様。大地を盛り上げ、水をせき止められる…。それを彼は恐れたんでしょうね…」
「…8年前に…?」
「えぇ。詳細は分かりませんが、父上と同じ目にあったんじゃなかろうか…と、お察しの通りです。」