記憶 ―流星の刻印―
私が頷くのを確認しながら、
太磨はゆっくりと説明してくれていた。
太磨は龍の巫女様に仕える者。
私に「龍神の刻印」が在る事は、ババ様に聞いて知っていた。
母さんに刻印があった事も知っていた。
8年前に母さんが殺された。
それも彼は知っていた。
「…ただ、俺は現実主義者でね…。龍の巫女様に仕えながらも、龍神の存在は只の伝説だろうと…大して信じちゃいなかった…。この里に暮らしながらも龍神は見た事は無かったしな…」
「…ふふ、ババ様に知れたら、クビになるわよ?」
「本当だな…」
私に釣られて、太磨も表情を崩して困った様に笑っていた。
知っていた。
でも…
ただの知識だけだった。
朱い鳥を追い掛けた太磨。
確か虎白と一緒になって『龍神同様に伝説級』だと興奮してしたわね?
「…表向きは信じる立場だ。だが、心の中じゃ…それまでは信じちゃいなかった。嬢ちゃんの事も半信半疑だったよ。こんな小娘に大人たちが必死になって…ってな。」
「……最初の太磨の態度、ヒドかったわよ?」
「……お互い様だろ。」
呆れた様に私を睨む太磨。
お互いに鼻先で笑う。