記憶 ―流星の刻印―
虎白の叫ぶ内容は、こうよ。
『――…うわぁあぁぁんっ!!起きたら、揚羽も太磨も居ないぃぃっ!!置いていかれたぁ~っ!!やだぁーっ!!』
『僕が寝てばっかで役に立たないからぁぁっ!?だから邪魔なのぉっ!?うわぁぁんっ!!』
『揚羽ぁあぁ~!!太磨ぁあぁ~!!どこ行っちゃったのぉぉっ!?置いてったぁーっ!!ヒドイ~っ、やだぁーっ!!』
まぁ。
…そんな事ばかり。
あまりの大音量に、
私たちが帰って扉を開いた事さえも、誰にも気付かれなかったわ。
「……ただいま…」
呆れた様に私がボソッと呟くと、
――ピタッと、
鳴き声は止まった。
『…あ、あげ…あげ…揚羽ぁ』
涙を溜めた虎白の瞳と、
私の目が合う。
後ろに居た太磨の姿も目に入ったみたい。
『…たいま…太磨ぁ~。帰ってきたぁーっ…』
急に弱くなった鳴き声に、
その場に居た皆が目を丸くしていた。
「…別に、置いて行ったりしてないわよ…。本当に弱虫ね…あんた。」
『――ぅわぁぁんっ!!』
虎白は急に駆け出して、
私の膝下に飛び付いたわ。
「……何?…それで鳴いていたの?虎白ちゃん…」
驚いて口をポカンと開けたままの美玲さんに、私は頷いた。