記憶 ―流星の刻印―
蓮ったら、何時までもグダグダ拗ねてるからいけないのよ。
ほら、ババ様に怒られるわ。
ババ様がそんな表情の私を見て、大きな溜め息をついた。
「…あたしだって馬鹿じゃない。揚羽が世間知らずで、考え無しで、臆病な子虎と単独で旅なんて無理だっていう事は分かってるさ。」
……ん?
「……ちょっと?」
……失礼よ?
矛先、私なの!?
この場に居る私に対して、少しは気を遣ったら?
「…このまま無知な揚羽を旅に出したら、そりゃあ…すぐに逃げ帰るか、すぐに道中で死ぬだろうね?分かりきった事さ…」
「……ちょっと!」
だから、失礼すぎ。
私、目の前に居るんですけど。
「――何なの!?大丈夫だし!出発前に縁起でも無い事を言わないで!……何よ、皆して、そんな目で私を見ないでっ!!」
諦めた様な、
不憫そうな白い目で、
「…じゃあ…何か策が?」
と蓮は聞いた。
何よっ、溜め息混じりにっ。
「――…太磨。出ておいで、皆に紹介しよう。」
……はぁ?
嫌な予感は、していた。
「太磨は長年のあたしの部下だよ。揚羽に同行させるから安心しな、蓮。」
脇の茂みから現れたのは、
1人の中年男だった。