記憶 ―流星の刻印―
肩の荷が下りた。
その言葉通りよ。
私の肩に終始乗っかっていた虎白は、いつの間にか太磨の大きな肩に移動した。
私は今後の肩こりと戦わなくて済む訳だし、歩く事も楽になったけれど、
……面白くないわ。
乗り心地の問題?
それだけならば、
私は女な訳だし仕方がない。
身体の大きな、
長身な太磨には適わない。
虎白から見える景色だって、高い方が良く見えるに違いない。
敗因はそれだけじゃないの。
ヘタレな虎白が、
太磨に心を許した。
嫌な奴だったら、
ただの横暴な奴だったら、
ヘタレな人見知りな虎白は、今もビクビクして私の肩から離れなかったに違いない。
……いい奴。
確かに、
相変わらず偉そうだし、
私を小馬鹿にする態度には変わりないけれど、虎白は太磨に懐いてしまった。
すなわち、
虎白は太磨を認めてしまった。
私は単純に、
飼い主として、面白くない訳。
でも、
それを表に出してしまえば、
また子供だと馬鹿にされて笑われる事は解りきっているから。
……黙ってる。
若干イライラしながらね。
ガタン、ガタンと、
車輪が石につまずく度に私たちの肩も揺れていた。
私たちは現在、
馬車の荷台に座っている。