記憶 ―流星の刻印―
「…で、どうして虎白が神聖な生き物かって話に戻るが…。4つの地には、それぞれ神聖とされる生き物が祀られている…」
「……それって、龍神の事?」
もう黙っていようと思っていたのに、ついつい私の口から言葉が漏れ出した。
「…そ。草原の地に降った星屑には、青龍が。渓谷の地に降った星屑には白虎…、氷上は玄武。砂丘の地は、朱雀…。それぞれの星屑と共に、神が降り立ったって伝承。」
「……ふぅん?」
確かに母さんの眠っている薄朱色の湖には、龍神を祀る古い祭壇は在る。
ババ様は「龍神の巫女」だし。
太磨は、その部下な訳だし。
…でもねぇ?
にゃっ
『んじゃ、僕がその白虎?』
……それは、違うわよ。
このヘタレ。
嬉しそうな声を出してんじゃないわよ。
太磨もそれには苦笑いを浮かべて、虎白の頭を撫でたわ。
「…いや?草原の地の龍神は1体だし、誰も見た事はない伝承だが…。渓谷の地には、虎白みたいな白虎は、沢山居るんだよ。神聖な生き物として大事にはされてるみてぇだがね…?」
『…なぁんだ』
「…なぁんだ。じゃあ別に、神聖だからって私は大事にはしないわよ?あんたはただの白い虎!ペット!」
『ぶぅーぶぅー』