記憶 ―流星の刻印―
私は「特例」になった。
花梨さんの渋々の独断で、
晴れて再び自由を手に入れた。
砂丘の地へ入る事を許可するにあたって、花梨さんが出した条件は3つ。
1つ、太磨の傍を離れない事。
2つ、花梨さんに随時連絡を取り、報告を怠らない事。
3つ、私が妖術師だという事は周囲に明かさない事。
「……別に大した事じゃないわ?どれも簡単じゃない?」
「…まぁ、今の現状ではな?」
花梨さんが用意してくれたラクダという動物の背に乗った私は、太磨の体温を背中に感じながら、果てない黄色の砂の中を進んでいた。
「…太磨の傍を離れない事に関しては、もう諦めたし。…っていうか、近い!!ちょっとは気を遣って離れたらっ!?」
「無茶を言うな…」
どうせなら2頭用意してくれれば良いものを、1頭に2人プラス1匹が乗っているもんだから、太磨の身体が近くてかなわない。
座高の関係故に、太磨が後ろで言葉を発する度に、私の耳がこそばゆい。
あぁ、嫌な感じ。
落ち着かないったらないわ。
2つ目の「連絡」に関しては、どういう術を使うのか頭を捻ったけど…。
花梨さんから渡されたのは、
古びた「手鏡」。