恋の方程式
「楽しかったねー」


キャンプも終わって、やっとうちに着く。



「小春。空君のこと、送ってあげなさい」


めずらしく車に酔わなかったパパが、車酔いしてる空を見ていった。



「うん。じゃぁ、行ってくるね」



空の家はわりと近い。



「おじゃましまーす。空、大丈夫?」



「うん。たぶん」



だけどね、今日言うって決めたから。



「空、夏休みの間、もう会えない」



「なんで?」



「私たちの取引、終わりにしたいの」



「それって・・・」



「私と別れて」



「なんでだよ。彗のこと好きになったのか?」



「ちがうの。私が悪いの。だからお願い。私と別れて」



「どうしても?」



「うん」



「・・・。わかった」



「空、今までありがとう」



空は何も言わなかったけど、向けられた背中から泣いているのがわかった。

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