恋の方程式
誰?先生?



涙で視界がぼやけていて、誰が来たのかわからなかった。



だけど、その誰かに、私は抱きしめられている。



「俺が守ってやる。だから泣くな」



見えなくても誰だかわかった。



天上空だ。



さっきは、取引には絶対応じないと思ってた。



だけど、私はすがりつくなにかが欲しくて



「私と取引して」



そう言っていた。



「俺がお前を守るから、お前は俺の彼女になる。それでいいな?」



私は迷わずうなずいた。



「じゃぁ、とりあえず気が済むまで泣け。こうしてればお前の顔は見えないから」



そういって、抱きしめる力を強めた天上空に、私はすがりついて泣いた。



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