恋の方程式
「そんなこと言われても気になっちゃうんですけど」



「お?それはよかった」



なんだろう。空といるとペースが乱れる。




「だから、小春のことちゃんと守るよ。でも、そのためには知らないといけない。小春のこと。小春の抱えていること。言いたくなかったらいいけど、なにがあったのか教えて?」




ほら、乱される。



言うつもりなんてないのに




「幼馴染がいるの。年上の。徠っていうんだけど・・・」




話してしまう。




すべて話し終えた私に、空は




「本当は待つつもりだったけど、前言撤回。早く俺のものになって」



そう言った。



「なんでそうなるの?私は徠が忘れられなくて辛いのに」



「だから、俺を好きになればいい。好きじゃなくても利用すればいい。徠ってやつのこと考えなくてもいいくらいに、俺のこと考えて?」




そんなことできない。



そう言いたいのに、言葉が出ない。



「私、昨日よりは辛くないよ?だって空がいてくれるもん。私、空のこと好きになってもいいの?」




私は卑怯だ。優しい空を利用して、最後にはきっと傷つける。



だけど今、空と離れたくないと思った。



まだ、徠のことが好きなのに。
< 9 / 44 >

この作品をシェア

pagetop