エピソード オブ マイラブ

*彼氏×彼女*


 『受験のことでなやんでいる人!学校で相談受け付けます』
 夏休みに入って,1週間くらい経ったかな?
 学校のプリントやらなんやら整理してたら,こんな紙が出てきた。

 ・・・行こうかな。
 実際悩んでるし。
 悩んでるのはそれだけじゃないけどさ。


 自慢じゃない。
 けど,唯一のあたしの特技(?)が勉強なわけで。
 ここんところずっと学年トップで。
 あみなにもみんなにも,
 『あたまいい人はいいわね~』って言われて。
 それもずっと嫌だったんだけど・・・
 最近はそれだけじゃなくて,勉強ができたって勉強するのが好きじゃないし,みんなは進学校に行くと思ってるらしいけど,そういうところに実際行きたいわけでもないし・・・


 ☆


「でもまぁ,水城さんでも悩んでるのねぇ。」

相談を受けるおばあちゃん先生・・・あたしの担任の若宮先生はほのぼのした感じで言った。意外と相談に来る生徒が少ないみたいで,暇だったらしい。

「あの・・・」

このままだといつまで経っても本題に入れそうにないから,先生の言葉を遮ってまで言ったのに・・・

ガラッ

「先生,ちょっと・・・」

ドアの開く音,入ってきた人の声であたしの声まで遮られた。結構悲しい。
 一体誰が・・・うわっ。
 桜くんじゃない。
 目が合って・・・あたしの顔が赤くなる。

「水城くん・・・何かようでもあったかしら。」

まだ,ほのぼのしてる若宮先生。ちょっとちょっとちょっと・・・なんでここに桜くんが・・・!?

「先生が宿題でプリントがどうとか言って俺を呼び出したんじゃないですか。」

うわぁ・・・こんな冷めた声なんだ・・・それもカッコいいかも。

「あぁ・・・そうだった!ごめんなさいねぇ・・・ちょっと職員室に取りに行って来るから,2人ともここで待っててね~」

そう言ってせかせか出て行ってしまった。
 あたしをじっと見る桜くん・・・
 ・・・この状況はどうしたらいいのかな・・・?

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