エピソード オブ マイラブ

「な,なんで・・・」
「あんた,俺のこと知ってるでしょ?」
「うん・・・(正直に言っちゃったよ・・・)」
「だから。」
「は!?」

いまいち桜くんの言ってることが分からない・・・

「あんたが俺のこと知ってるから,俺もあんたのこと知ってるの。」
「あの・・・分からないんだけど。」

そう言ったとき,若宮先生が帰ってきた。なんとも微妙なタイミングで・・・

「ほら,水城くん。これね。」
「あぁどうも。」

え!?ウソ??桜くんが部屋を出ようとしてる。初コンタクトがコレ!?ワケわかんない会話で終了!?

「・・・あ,えっと・・・桜くん!!!!」

気づいたら叫んでいた・・・なんか恥ずかしい!!桜くんも,先生もすごく見てる。・・・なんかここから消えてしまいたい・・・人の名前言っただけだけど,もうちょっと小さく言えば良かった・・・言った後ですごい後悔・・・

「何?」

だけど,平然と答えてくれた桜くん・・・その顔が若干笑ってるけど,なんだか優しさを感じる。


「えっと・・・またね!!」

もう,なんで私はこんなことしか言えないの??

「・・・またね,桜ちゃん。」

手を振って部屋を出て行った桜くん。
 
 ちょっとちょっと・・・今,桜くん・・・『桜ちゃん』って。
 あたしの名前知ってたんだぁ・・・
 ・・・すごく嬉しい。
 顔から自然と笑みが溢れてきた。

 “絶対この日を忘れない。”
 そう,思った。
 今日は,“桜くんと初めて喋った記念日”だから。



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