好きな人は、
好きな人は、幼なじみ
君は変わらない笑顔で
「沢村、お前今日から一週間居残りな。」
担任の言葉に、一瞬体が固まった。
「え、タケちゃんなんの冗談?」
「武井先生な。始業式の翌日にあった実力テスト、全教科平均30点未満はお前だけだ。」
「うそ。」
「よって、一週間居残り勉強。コレ今日中に提出な。分からないとこあったらその場で職員室に来い。」
そう言って手渡されたのは、分厚いプリントの束。あれ、目に水が溜まって前が見えない。
さらに、提出するまで帰れませんと追い討ちをかけられ、あたしは10キロのタイヤを引きずる足取りで職員室を出た。
たまに呼び出されたと思ったらコレだよくっそー!
桜の木が並ぶ渡り廊下で、花びらと一緒にこのプリントの束も風に乗せてやろうという思いに襲われたけど、なんとか抑えて誰もいない放課後の教室に向かう。
机の上にドサリと束を置くと、自分の成績の悪さと居残りという事実を再確認させられた。なんとも情けない。
高校に進学して二度目の春。
一年目が過ぎる速さに、今更ながら驚いた。このままだと気付いたら年金暮らしってこともあり得るな、あたし。
とりあえず、さっさとプリントを終わらせよう。えーっと、次の数式を証明しなさい………なんだこれ。
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