好きな人は、
逃走体勢に入っていたあたしも、潤くんとちゃんと向き合い、吸い込まれるようにして彼の目を見つめる。
「今日も、居残り無いって言ってたけど…帰る時、まだ教室電気点いてたし…朝なつこちゃんの怒ってるみたいだったから帰ったんだけど……やっぱ心配で戻ってきちゃった、ほらなつこちゃん……女の子だし。」
一言一言、ゆっくり噛み締めるように話す潤くんの目は、今まで見たことないくらい真剣だった。
時折照れ臭そうに、頭を掻いたり難しそうな顔をしたり。その一つ一つが愛しい。
生物は心拍数が高いほど寿命が短いと言うけれど。
それが本当ならば、今のあたしは今すぐ死んじゃいそうだ。