好きな人は、
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「じゃあ、最終日がんばれ。」
そう言ってタケちゃんに渡されたプリントは、いつもの半分くらいだった。
「え、これだけ?」
「なんだ、不満か?」
「いやいや満足だけど、なんで?」
「昨日の量は、差し引いといた。」
頭にポワンと浮かんだのは、昨日8時半まであたしを苦しめた1.5倍量のプリント。
あれのことか!
「タケちゃんありがとう、タケちゃんなんて鬼だ年金貰わずに鬼ヶ島で一人寂しく泣きながら苦しい老後を送れば良い、なんて思った昨日のあたしを殴ってきても良いよ。」
「よし、じゃあとりあえず今日のお前を殴っとくか。」
バシン、と職員室に響いた無情な音。
その音が引き起こしたほっぺたのヒリヒリは、教室に着くまで続いた。