好きな人は、
「…いったー…これ体罰なんじゃないの、タケちゃん許しがたいんだけど。」
あたしの頬を押さえながらの独り言が、誰もいない教室に響き渡る。
筆箱を漁ってシャーペンを取り出すガチャガチャという音も、同様に響いた。
…とりあえず、これを終わらせよう。
終わったら……
潤くんに、会いに行こう。
野球部の練習終わるまでにコレ終わるかな…
終わんなかったら家に帰ってから会いに行けば良いか、隣だし。
…出来れば帰りが良いけど。最近潤くんの家のチャイム鳴らしてないし。おばさんが出てきたら、ちょっと恥ずかしいなぁ。
…あー、でも顔合わせたら何て言おう…………。
とりあえず、勝手に拗ねたことと逃走したことを謝らないと。
そんでもって、心配して待っててくれたお礼も言わなくちゃ。
あとは……
「………終わったー……!」
シャーペンを机に放り投げ、あたしは大きく伸びをした。