好きな人は、





「…いったー…これ体罰なんじゃないの、タケちゃん許しがたいんだけど。」




あたしの頬を押さえながらの独り言が、誰もいない教室に響き渡る。



筆箱を漁ってシャーペンを取り出すガチャガチャという音も、同様に響いた。





…とりあえず、これを終わらせよう。




終わったら……










潤くんに、会いに行こう。







野球部の練習終わるまでにコレ終わるかな…


終わんなかったら家に帰ってから会いに行けば良いか、隣だし。


…出来れば帰りが良いけど。最近潤くんの家のチャイム鳴らしてないし。おばさんが出てきたら、ちょっと恥ずかしいなぁ。






…あー、でも顔合わせたら何て言おう…………。




とりあえず、勝手に拗ねたことと逃走したことを謝らないと。


そんでもって、心配して待っててくれたお礼も言わなくちゃ。





あとは……













「………終わったー……!」





シャーペンを机に放り投げ、あたしは大きく伸びをした。






< 26 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop