好きな人は、
うわっ、と。
叫んだのは、心の中。
「すき、超すき。」
耳元で、世界中の砂糖が溶け込んだような、甘い甘い声がした。
「かなり前から、すき。」
「……多分あたしの方が前から好きだよ。」
「そんなこと無い、俺は小3からすき。」
「残念でした、あたし幼稚園からだもん。」
言ってる内容が幼稚園児、小3レベルだな、とか思ったけどせっかくなのであたしの重い深い根強い想いを知っといてもらおう。
案の定彼はあたしの片想い期間の長さに驚いたようで、言葉に詰まってしまっている。
「潤くんがあたしのこと好きなのより、あたしが潤くんのこと好きっていう方が勝ってるんだからね。」
「いや、それはない。」
黙り込んだ彼の返事に驚いたものの、じゃあどのくらい?って聞き返してみたら。
「宇宙で一番、好き。」
宇宙って。どんだけ。
そりゃもう、宇宙に敵うもんなんて他に無いから、
「じゃあ、そういうことにしといてあげる。」
負けました。
ふふ、と無邪気に耳元で笑う君に。
「…桜でも見に行こっか。」
たまにはこうやって甘い臭い言葉を言い合うのが、カップルの幸せなのかもしれない。
その"たまには"が一生続けば、あたし何も要りません。
まぁ次の日の朝鏡を見たら、歯が浮いちゃっているかもしれないけど。
待っててもいいですか:end
「着替えてくるからちょっと待ってて、5分、いや3分!」
「大丈夫だよ、そんなに急がなくて。」