好きな人は、
ぬぅ、今日も三木先輩の冷たさは健在だ。
「そっけない……でもカッコいい……」
「はいはい、どーも。」
先輩は明らか興味無さそうに流して最後の一口、ふりかけご飯を頬張った。
完食して貰えて、わたしはなんかもう、今にも空飛べそうです。
「三木先輩、明日は何食べたい?」
「え、明日も作ってくるの」
「作るよー。『あーん』ってしてないもん。」
「…………………」
そのあと、結構本気で三木先輩に頭を叩かれて旋毛ら辺がジンジン痛んだけれど、それはそれでまたわたしは幸せだった。
なんか、わたしってMなのかな、なんて最近よく考えさせられる。
まあ、それもそれでアリかもしれない。三木先輩が相手なら。
「あーもう、三木先輩好きすぎる。」
「わかったわかった。」
……わかったわかった、って。絶対分かってないよね。
軽く告白してるのに、先輩の興味はわたしなんかよりポケットから取り出した単語帳に向いているようだ。
く、くやしい。こんな紙束に負けるなんて。
でも三木先輩は今年受験生だし仕方ない。ここは夫を支える妻のごとく、静かに見守っておくとしよう。
秋の少し冷たい風を感じて。
フェンスに2人凭れ掛かりながら、今日もお約束の願事。
"三木先輩と一緒にいられる時間がずっと続きますように"
でも、やっぱりその願いは叶わない。