好きな人は、







――――――――――……



「じゃあコレ、今日の分な。」

「はいっ!」



昨日の一件で元気ハツラツなあたしを怪訝そうに見つめながら、タケちゃんは今日も分厚いプリントの束を差し出した。


いつもならきっと泣きたくなるだろうけど、潤くんを思い出したらこんな紙切れなんのその。10分で終わりそうな勢いです。




…なんて思いながら風船のごとく軽い足取りで教室に向かったものの、現実はそんなに甘くはなく。

普通に一問目から頭が痛くなった。




結局今日も終わったのは8時過ぎ。でも寝ずに一生懸命やった自分を褒めてあげたいと思う。



プリントを提出しに職員室に向かう途中、野球部の練習がいつも8時くらいまでって潤くんが言っていたのを思い出し、期待を胸に渡り廊下から少しだけ見えるグラウンドに目をやった。



しかし、人影はない。




がっかりしながらさっさとタケちゃんにプリントを提出し、あたしは早足で下駄箱へと向かった。




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