好きな人は、
トボトボと教室に戻ると、そこはやたらと騒がしかった。
久しぶりの、昼休みの教室。
三木先輩は明日からこの空間に戻っていくと言う。
…わたしは戻りたくないのに。
………たしかに、わたしには友達もいなくて教室に居場所も作れない臆病者だ。だからといって先輩を拘束する権利は無いわけで。わかってるよ、それは分かってるんだけど。
先輩があんなカンタンに言っちゃうから。
わたしにとっては大問題なのに。
昼休みの屋上が、唯一先輩と会える貴重な時間なのに。
単純なわたしは、また学校に来る意味が見えなくなっちゃうよ。