好きな人は、
放心状態のまま、紅葉が舞い散る通りをノロノロ歩く。
先輩の最後の一言以降、わたしの頭は考えるということをやめていた。
なんで分かんないんだよくっそー、という若干怒りを含んだ思いや、どうやったら分かってくれるの、という頭の悪い自分にムシャクシャする思い。
そして、わたしの"好き"は三木先輩の"好き"とは違うのか、だったらわたしの"好き"はなんなの、という考えれば考えるほど未知の世界に迷い込みそうな思いしか、わたしの脳内には存在しない。
意外と冷静に頭の中を整理できている脳とは裏腹に、心はわりとズタズタのボロボロだ。
結構、チキンハートにしてはメンタル強い方だと自分では思っていたけれど、それは違ったらしい。
簡単にこんなこと言っちゃうと、また『本気で言ってるとは思えない』なんて言われちゃうかもしれないけど、本当に、わたしの心の支えは三木先輩だったから。
独りぼっちの寂しさを紛らわしてくれるだけじゃなくて、先輩の少し冷たいところとか、意外にツンデレなところとか、密かに優しいところとか、口調とは違って暖かみのある雰囲気とか。
全てが、わたしを支えてくれた。
「…誰でも良い訳無いじゃん」
バカ野郎。
三木先輩の、大バカ野郎。
なんかわたし、気付いたの以上にメンタル弱いみたいだ。
今だってホラ、道端で一人しゃがみこんで。
明日や未来に怯えてる。