好きな人は、
……だからといって、三木先輩への気持ちを諦める気はさらさら無いから、先輩が同級生の女子とかと仲良くなっちゃったらどうしよう、わたしのこと記憶から飛んじゃうんじゃないの、とか考えるわけで。
当たり前だよ、あんなカッコいい三木先輩が女子の前で笑ったら、ふえるワカメちゃん並みにファンが増殖するのが目に見える。
今までもは昼休みという長い休憩時間は教室にいなかったけど、今日からは違う。そしたら、当然三木先輩は女子の先輩たちの視界に入っていく訳で………。
…………不安だ。
そういうわけで、放課後三年の下駄箱付近で張り込んでみた。
見つかったらその時、女が周りにいたらその時。
後者は確実に女に向かって飛び蹴りしちゃいそうだけど。
三年の校舎からは、単語帳を見つめながら歩く人や、就職ガイドを片手に歩く人など色々な人がゾロゾロと出てくる。
その中に、三木先輩は見当たらない。
15分、30分まっても、先輩の姿は現れなかった。
……なんでだろ。
人の出てくる気配が一端やんだ後、三木先輩の靴箱を探す。
三木三木三木三木三木…
……あった。
ガシャン、とそこを開けると、屋上で散々目にした上履きがポツリ。
「…あれ、いない」
おかしいな、わたしずっと見てたのに。
…まさか、またサボり?…ありえない。
「受験生だから」とかなんとか言っといて、二日連続サボりですか。
くっそー、都合良い言い訳だな"受験生"!
わたしも来年になったら好きなだけ利用してやる。
とりあえず今、三木先輩にパンチしたい。