好きな人は、
「…いいなぁ」
「え?」
「幸せそうだなー、って」
「…………」
「…ちょっと沢村さんわたしの話聞いてくれないかな」
「えぇっ、あたし?」
沢村さんが「いいよ」と言う前に、わたしは彼女の席の側にしゃがみこんだ。
はじめはギョッとした顔をしたけど、すぐに「どうしたの?」と聞いてくれた沢村さんは、なんだかとても暖かく感じる。
「わたし、好きな人がいるんだけどね」
「うん」
「…沢村さんみたいにお付き合いはしてないけど」
大好きな人がいる。
年上で、素っ気ないけど優しくて
彼といる時間が幸せで、毎日そのために頑張ってるようなものだった。
けど、なんか急にやんわり拒否られて
少し迫るとバッサリ想いを否定され。
おまけに言ってることとやってることが矛盾してるし。
「一年以上も好きでいるのに、気持ち受け取って貰うどころか理解すらして貰えないっていう…」