好きな人は、






「三木先輩意味わかんない…っ、屋上に執着もしないし、わたしのことだってあんな簡単に突っぱねちゃうのに……今更謹慎って、ばかなんじゃないの…!もっと早くそうしてたら、そんなことにならなかったのに……」






喉が、いたい。


足が、震える。




呼吸も荒くて、汗がつめたい。







まるでオモチャを買って貰えない子供のように喚いて、そんな姿が大人げないということは分かってはいるけれど、自分の言葉と勢いを、止める気持ちはさらさら無い。



むしろ肺や喉が許すなら、100倍の大声で叫んでやりたい気持ちだ。





「先輩が悪いならわたしだって悪いよ。先輩が謹慎ならわたしだって家にこもるし、退学だったらわたしだってやめてやる…っ。同じ罰わたしも受けるよ。先輩悪くないもん、先輩は………っ」








息が詰まって、声が掠れて、お世辞にもきれいな声とは言えない状態。




出来ればちゃんとした状態で、もう一度想いをぶつけたかったなぁ、なんていうのは女子としての淡い願望。







「…先輩は…っ、わたしの居場所守ってくれてた……」





だから、全然悪くない。




こんなことを言ったら、いつも三木先輩は





"自惚れるんじゃないよ"って、渇いた笑いを漏らすでしょう。





"自意識過剰"だって、鼻で笑って流すでしょう。






それでも良いよ。






これから先も、三木先輩がわたしに笑ってくれるなら。





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