好きな人は、
「…先輩は、わたしの"好き"は本気じゃないって言ったけど…、もしそうなら、わたし三木先輩の言う"好き"なんて、きっと一生分かんないよ」
だって、この先誰と出逢っても
どんなイケメンでもどんな紳士でもどんなお金持ちでも親切な人でも。
わたし、今みたいな気持ちにならないよ。
他の人の一言一言に一喜一憂することも無いだろうし、その人に人生変えられる気も全然しない。
わたしの世界を変えるのは、三木先輩しかいないから。
「なのに…『俺じゃなくても』なんて、言わないでよ。先輩じゃなかったら、あの時わたしを屋上に入れなかったかもしれない。『寄れば』なんて言ってくれなかったかもしれない。他の人だったら確かに『死ね』とか『うざい』とか言わないかもしれないけど、わたしのお弁当食べてくれる人なんて、きっと三木先輩だけだよ…」
わたしにだって、少しは分かる。
三木先輩の性格とか、言葉の裏とか。
あんまりバカにしないでよね、伊達に一年以上、先輩だけを見てないよ。
ガタンゴトン、と再び頭上を電車が走る。
さっきから何度も何度も障害物のようにやって来るそれに、わたしも何度も何度も声を荒げ。
「先輩が良いんだってば――………!!!!」
ついには、声量の足り無い分だけ涙がこぼれた。