好きな人は、
三木先輩。
今わたし、嬉しいよ。
いつもキツめな先輩が、弱いところが見せてくれて。
なんだ先輩もそんなこと考えてたんだ、って。
これからそんな"嬉しい"が、どんどん増えていくと良いけどな。
「三木先輩、もしかして今キスとかする流れじゃ…」
「ない、しね」
「キスしてくれたら死ねるよ」
「…………馬鹿か」
「馬鹿だよーだ」
微かに三木先輩の溜め息が聞こえて、頭をコツンと叩かれた。
それはもう、愛情としか取れないほど優しく。
そして背中を屈めた先輩が、わたしの目をじっと見つめた。
「馬鹿な麻衣に"好き"以外の伝え方教えようか」
「えっ!なにな……」
「愛してる」
いただいたのは、絶対結末を裏切らない、幸せに満ちたドラマでよく聞く甘い台詞。
しかもキス付き、ちなみに長いの。
あと一秒、あと一秒、と体が今の時間を惜しんで
わたしの欲望は高まって
時間よ5秒だけ止まれ
そう、神様にお願いした。