好きな人は、




「…別に、もう良いけど。」

「…じゃあ最初から言うなよ。」

「…はいはい。」


気まずい空気を断つように口から溢れたのは、拗ねた小学生のような幼稚な言葉。

それに対して奏の口から出た言葉も、大人げなかった。

しかも、言葉と言葉の間が空きすぎで、気まずい空気は全く変わらない。



自分で作り出した空気だとは分かっていたけど耐えきれなくて、お茶でも入れるね、と言って立ち上がった。



煙草の煙や、ポットから注いだお湯から上がる湯気は、まるであたしの心の不満のようにモクモクモクモク。


このモクモクがトゲトゲに変わって、ハリセンボンみたいな心になったらどうしよう。



色々、終わっちゃうかもしれない。


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