失恋オブリガード
「ユカリ」
彼が私の目の前に現れたのは、あれから一週間が経った時。
私のアパートの前だった。
その姿を見た瞬間、また胸が痛くて思わず抑える。
「電話…出てよ」
ぽつりと溢したナオトの声は、小さくて、切なくて
そしてやっぱり、胸の痛みが増した。
だからまだ会いたくなかった。
出来れば二度と会いたくなかった。
私のこと忘れて欲しかった
何より私が忘れたかった
「…ユカリ、ごめん……」
「………いらない」
ごめんもいらない、土下座もいらない
だからもう、帰ってよ。
目頭からじんわり熱くなって、涙が頬を伝っていく
会いたくなかった。
会いたくなかった。
会いたくなかった。
なんでか教えてあげようか。