失恋オブリガード
「久しぶりだね」
「おぅ、元気か?」
元気なわけないでしょ、今にも
死んじゃいそうだよ。
あたしにとって涼太は、そんな
存在だったから。
「で、神社でも行く?紅白見るのも良いけど」
「いい。これ渡したかっただけだから」
懐かしい、あの風景が煌めくノート。
「なに、これ」
涼太はその風景を見ても何も思い出さないらしい。普通、そんなものなのかな。あたしが過敏なだけだったのかな。
やっぱり、"好き"の大きさの違いかな。
「うちの地域、ゴミの日過ぎちゃったから捨てといて」
ばいばい。
そう言って、涼太に背中をくるりと向けた。