失恋オブリガード
「ねぇ」
「ん?」
「龍平は、私といて幸せなのかな」
お風呂から上がったあと、皿洗い中の彼に気付いたら思ったことを聞いていた。
目線はそのままに、スポンジを持っていたその手だけがピタリと止まる。
「どうしたん?急に」
一度もしたこと無いような話に、少し表情を変える君。
「真面目な話だよ」
口調はトゲがないように、と気を付けたけど内容的に爽やかではないな、なんて。
「どうやろうな…」
フッ、と笑って、彼は私が食べ終えた食器をキレイにすすぎ、優しく笑った。
「寝よか。明日も早いんやろ?」
曖昧な言葉を、ひとつ。
彼は今の生活に"幸せ"という言葉が不釣り合いだと
言い切ることは出来ないと
そう思ってるのだろうか。
不安だらけの日々は、お互い様なのかな。