鳥籠と空
「おはようございます。お嬢様」

「おはよう。」

「朝食はいかがされますか。」

「いらないわ。すぐ出るから、車を回しておいて。」

「かしこまりました。」

この家に私の居場所はない
たとえ休日でもここにはいられない
予定がなくても必ず出かける


「ここでいいわ。」
 
「では、お帰りの際にはご連絡くださいませ。」

「ええ。」


あてもなく街を歩く
大学の講義は詰め込むだけ詰め込むけれど
休日はどうしようもない
アルバイトはできないし、大学に入った後では予備校もいけない
一緒に遊びにいけるような友達もいない
何か趣味があればいいけれど、そんな趣味もない
改めて自分には何もないと思い知らされる

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