嘘でもいいから
渋谷の、もっと先。
坂道を進んでいくと、そこはキラキラと明るく輝くネオンと、
手をつないでいる男女が歩いている。
気のせいか、
掴む彼の手が、さっきよりも熱くなっている。
私も同じ。
心臓が爆発しそうになるくらい、
ドキドキしている。
初めてじゃないのに、
何度も、何度も、肌を重ねたのに。
いつもそれは初めての時のように熱っぽくて、
相手の全てを求めてしまう。
吸い込まれるように入った綺麗なビルの一室で、
私たちは深く、深く愛し合った。
押し寄せる快感に身を任せて、私は彼の火照った背中に手を回す。
伸びた爪を立てるのは、
溢れ出る私の想いを、出来る限り長く刻みつけておきたいから。
強く強く、細くて長い指に強く指をからめさせるのは、
今この瞬間、
他の誰でもない、
私だけが、彼の愛すべき女であることを、
知らしめておくために。
深く、甘い吐息が混じって1つになる瞬間を求めて、
私たちは時間が許す限り愛し続けた。