輝り道‐ヒカリミチ‐
なかなか口にできずにいると
陽樹から先に口を開いた…
「…柚樹に聞いたから…。でも、ごめん。お前、俺のこと知ってたんだな…。俺、記憶あんまなくて。お前のこと覚えてないけど、でも、大切な存在だった気がするから、柚樹に電話してみたんだ…。柚樹、お前から電話あった、って言ってた。俺のこと話した、って。」
「こんな時にあれだけど、私、お前じゃない…奈々緒だよ。奈々って呼んでくれてたのに。ホントに覚えてないんだね。ひどいよね…。」
「…それは‥マジでごめんって。」
…違う、こんなことが言いたかったんじゃない
もっと
言わなきゃいけないことある…
「陽樹、ごめんね…。ごめん。」
「…」
「陽樹、私とね、陽樹は幼なじみなんだよ。家がね、隣で…。よくね、柚樹と3人で遊んでたんだぁ…。
―ポタッ
あっ、あれ?私、泣いてる…?なん…で?悲しいからかなぁ、寂しいからかなぁ、陽樹、私はこんなに陽樹が大切なんだよ…。陽樹が必要なんだよ…。」
自分でも言ってる意味分からない。けど、嘘は言ってない。私は陽樹が大切で大切で大切で大切で…そんな存在だったんだ。
私がなき終わるまで
ずっと
抱きしめてくれていた…
優しい陽樹…
私を大切な存在と思ってくれていた陽樹…
でも私の記憶がない陽樹…
「ごめんね…ごめんね…。」
「もういいから。あやまらなくてもいいよ。俺こそ、ごめんな。
それと奈々、俺、今、少し思い出したよ…。柚樹と俺と、もう1人女の子が座って星を見てる記憶。
…奈々だよなぁ、覚えてる?」
「…うん。陽樹の家のベランダで、よく、星を見たね…」
「俺さ、今日奈々に、また出会えて良かった。」
「ふふ…。私も思うよ。」
「記憶はさ、少しずつ…、少しずつだけど思い出していくから…。」
「私、協力するよ♪」
「最初から協力してもらうつもり♪」
ニヤニヤ笑う陽樹…
「なっ…!」
「うそうそ!」
「も~!」