輝り道‐ヒカリミチ‐


1日中
何もしない日が続き
私の体は
あり得ないほど
痩せ細っていった

何も食べる気になれなかった
泣くことも
寝ることもないまま

いつか
“嘘やで”

なんて言って
電話掛けてくれる琴理を
待っていたんだ…


ある日、
また電話がかかって来た

…ほらねやっぱ、嘘だったんだ。私が思った通り。

急いで
電話にでる

琴理の声が聞きたくて…

「…はい」

『奈々緒ちゃん?!ごめん、もう一度、琴理に会いに来て』


受話器を置いて

走って病院に向かう




――バン
「っ琴理は?!」

「奈々緒ちゃん、その体、どうしたの?」

「何でもない!それより、琴理は?!」

「…落ち着いて聞いて。琴理は、今、危ないらしいの。」

「嘘だ!」

「本当よ。」

そう言った
琴理のお母さんの目は
濡れていた

「…」

「琴理、まだベッドにいるよ。」
「…2人にさせて下さい。」

「…わかった。そう言うと思ってた」


――バタン

「琴理?
奈々緒だよ?
分かる?

ねえ、琴理?
置いてかないでよ、


まだ
琴理としたいこと
いっぱいあるよ!!

私、
琴理と
もっと
一緒にいたいよ!

そうやって
先回りばっかしないで!

私に頼って!

親友でしょ?

そういってくれたよね?


琴理、生きて!

それか、
私も連れてって!

…っ!


…ってよ!」

泣き崩れる
私を見かねて

琴理のお母さんが
部屋に入ってきた。


“泣いたら琴理が悲しいよ”

そう言って、
私を抱き締めてくれていた




気が付くと、
私はベッドの上にいた

真っ白い部屋だから
多分、病院のベッドだろう。

「あ、目、覚めた?琴理ちゃん、まだICU室にいるから、一緒に行こうか。」

横を見ると
看護婦さんが
私に話しかけていた

頷く私。

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