世界一、可憐な恋
「――いっつもそう草木ばっかり」
「え?ソフィーさん…何か仰いましたか?」
「何も言ってないわ」
「そ…うですか」
風が吹き、草木がそよぐ。そしてソフィーの栗色のロングヘアーも、風になびいた。
「風が出てきましたね……。朝も早いですし、お体に障ります。まだ少し、お休みになっていて下さい」
優しくそう言われ、何も返す言葉が無くなったソフィーは、静かに部屋に入っていった。
「――ジャックの…馬鹿……」
呟きは、澄んだ空気に溶けた。