誠-変わらぬ想いの果て-
まさかまさかの?
―――30分後
奏達は再び学校にいた。
今度は最初から校舎の外だ。
逃がす訳にはいかないし、逃がすつもりもない。
「珠樹、現れたら結界張るよ?」
「了解」
珠樹は奏の側に立ち、準備万端だ。
土方達もすでに臨戦態勢に入っている。
あとは再び現れるのを待つだけだ。
待つ?
何それ?
私達をおちょくっておいて待たせる?
ふざけんのも大概にしなよ。
「私、待たされるのって嫌いなんだ。だから、さっさと姿を現しなよ?木の葉天狗が一人、氷雨(ヒサメ)」
奏がその名を口にした瞬間、闇夜が切り裂かれたように揺れた。
次の瞬間には、刀を手にした青年が奏達の前に現れた。
「お前、どうして僕の名前を」
「何故?愚問だな。私達は元老院の者。妖全ての戸籍を見ることなど容易い」
妖は人間以上に名前に縛られる。
自分より強い者に名前を呼ばれた時、無条件に姿を現わさなければならない。
だから鷹は奏に名前を呼ばれたら、妨害行為が外部からかけられない以外従わなければならないのだ。