誠-変わらぬ想いの果て-
「こんな所で………」
氷雨はギリッと唇を噛んだ。
「木の葉天狗が一人、氷雨。人間誘拐の罪で元老院から捕縛命令が出ている。神妙に縛につけ。手向かいするなら容赦はせん」
近藤が口上を述べた。
それを合図に、みんな手を刀の柄に置いた。
「さらった人間はどうしたんです?」
山南が静かに問うた。
「あいつは………」
「まさか、もう殺したのか?」
土方は最悪の場合を想像した。
寝覚めが悪いことこの上ない。
「殺すわけないじゃないか!!」
「奏」
今まで結界を保つことに一貫していた珠樹が奏を呼んだ。
「何?どうした?」
「あの子、その連れ去られた子じゃないの?」
みんなが氷雨を警戒しながらも、珠樹の視線の先を追った。