誠-変わらぬ想いの果て-
暗闇が支配する夜の学校の校庭。
そこには、桃色の和服に身を包んだ少女が悲しそうに立っていた。
目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「珠樹、結界緩めて。あの子、入れずにいる」
「分かったよ」
珠樹が力を緩めると、それを心待ちにしていたように少女は中に走り込んだ。
そして、氷雨をかばうように間に立った。
「お前、何を」
「やめてください!!この人は私の大切な人なんです!!望んで攫われたんです!!」
『………………は?』
沈黙が流れた後、計らずもみんなの口から出た言葉は同じだった。
「由香里!!」
氷雨は咎めるように叫んだ。
「お前は何も言わなくていい!!なんで出てきた!!」
「あなたが心配だったから!!」
「こいつらは元老院の奴らなんだぞ!?何をされるか!!」
完全に二人の世界に入ってしまっている。
奏達のことなどアウトオブ眼中だ。
そして氷雨の言葉からすると、完全に自分達の方が悪役だ。