誠-変わらぬ想いの果て-
「あーあ、時間の無駄だったよ。こんなのが相手なんて」
「本当に。僕ら完全に当て馬か引き立て役みたいじゃん」
珠樹は頭の後ろで手を組み、結界を完全に解いた。
「………元老院の院則により、人間との婚姻は原則認められていない」
「そんなっ!!」
奏の言葉に、由香里は悲痛な叫びを上げ、氷雨は無言で刀を握り直した。
「――ここからは独り言だ。その院則には抜け穴がある。お前が人間として婚姻を結べばいい」
「奏、どういうことだ?」
氷雨を指差した奏を見て、永倉は首を傾げた。
他のみんなも不思議そうにしている。
「人間として婚姻届けを出せば、元老院の院則は適応されなくなるの。なにせ普通の院則より、三大原則のうちの一つ、人間への不干渉が絶対とされるから」
「なるほどぉ」
屁理屈だろうがなんだろいがこの際どうでもいい。
早く解決してさっさと帰りたい。
それに、この方法でもう何組も婚姻を結んでいるのだ。
元老院第四課長は頭が固いと言われているが、実のところ、それを黙認しているのだからその評価は間違いだ。