誠-変わらぬ想いの果て-



「あーあ、時間の無駄だったよ。こんなのが相手なんて」


「本当に。僕ら完全に当て馬か引き立て役みたいじゃん」




珠樹は頭の後ろで手を組み、結界を完全に解いた。




「………元老院の院則により、人間との婚姻は原則認められていない」


「そんなっ!!」




奏の言葉に、由香里は悲痛な叫びを上げ、氷雨は無言で刀を握り直した。




「――ここからは独り言だ。その院則には抜け穴がある。お前が人間として婚姻を結べばいい」


「奏、どういうことだ?」




氷雨を指差した奏を見て、永倉は首を傾げた。


他のみんなも不思議そうにしている。




「人間として婚姻届けを出せば、元老院の院則は適応されなくなるの。なにせ普通の院則より、三大原則のうちの一つ、人間への不干渉が絶対とされるから」


「なるほどぉ」




屁理屈だろうがなんだろいがこの際どうでもいい。


早く解決してさっさと帰りたい。


それに、この方法でもう何組も婚姻を結んでいるのだ。


元老院第四課長は頭が固いと言われているが、実のところ、それを黙認しているのだからその評価は間違いだ。



< 111 / 254 >

この作品をシェア

pagetop