誠-変わらぬ想いの果て-



――――洞窟




「案外あっけなかったな。ま、挨拶代わりだしね」




男はクスリと笑い、酒瓶を傾けた。


それを一気に飲み干すと、男は壁に手を当て、立ち上がった。




「この地に眠る龍脈。まずは一つずつゆっくり壊していこうかな」




男は刀を抜き、地面に突き刺した。


そこから、通力を送り、龍脈をかき乱した。




「こんなものかな?一気にするとすぐにバレちゃうしね」




男は刀を地面から抜き、鞘の中に戻した。


抜いた地面からは少しずつ瘴気が溢れだしていた。


男はその場から立ち去りかけ、ふと空を仰いだ。




「時は満ち、準備は整った。もうすぐだよ………僕の大事な奏」




ゆらりと辺りの空間が曲がり、男の姿は消えた。


瘴気は着々と辺りの自然を害し、広まっていった。




―――まずは一つ―――




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