誠-変わらぬ想いの果て-



「次、敵ははっきりしてるよ?」




奏は書類の最初を指差した。


そこには蠱毒と書かれている。


見慣れない漢字に、首を傾げる永倉達。




「これ、何て読むんだ?」


「これは《こどく》と読むの。古来から伝わる強力な呪殺の方法よ」


「じゅさつ?」


「呪い殺すって意味。丑の刻参りとか、効果がいつになるか分からない呪殺の方法より確実ね」




奏は扇を取り出して口元を隠した。




「しかもその方法がとんでもなくえげつないの。よくやれるよなってくらい」


「………どんな方法なんだ?」


「それはね……」




みんなは息を呑み込み、奏の言葉の続きを待った。




「まず生き物同士を戦わせるの。それで生き残った一匹を殺す。犬でいえば首を斬り落とすとかね」




奏は一旦言葉を区切り、また続けた。




「生き残った一匹に他の生き物の怨念が集まり、さらにその一匹も殺されることによってさらに怨念はたまる。たまりにたまった怨念を呪殺したい相手に飛ばすのよ」




淡々と言っているが、内容は確かにえげつない。



< 121 / 254 >

この作品をシェア

pagetop