誠-変わらぬ想いの果て-
「次、敵ははっきりしてるよ?」
奏は書類の最初を指差した。
そこには蠱毒と書かれている。
見慣れない漢字に、首を傾げる永倉達。
「これ、何て読むんだ?」
「これは《こどく》と読むの。古来から伝わる強力な呪殺の方法よ」
「じゅさつ?」
「呪い殺すって意味。丑の刻参りとか、効果がいつになるか分からない呪殺の方法より確実ね」
奏は扇を取り出して口元を隠した。
「しかもその方法がとんでもなくえげつないの。よくやれるよなってくらい」
「………どんな方法なんだ?」
「それはね……」
みんなは息を呑み込み、奏の言葉の続きを待った。
「まず生き物同士を戦わせるの。それで生き残った一匹を殺す。犬でいえば首を斬り落とすとかね」
奏は一旦言葉を区切り、また続けた。
「生き残った一匹に他の生き物の怨念が集まり、さらにその一匹も殺されることによってさらに怨念はたまる。たまりにたまった怨念を呪殺したい相手に飛ばすのよ」
淡々と言っているが、内容は確かにえげつない。