誠-変わらぬ想いの果て-
増幅された怨念
―――30分後
奏達は門をくぐり、蠱毒の創造主がいるだろう家の前に現れた。
辺りは得体の知れない空気を纏っている。
まだ昼間、しかも春だと言うのに肌寒く感じる。
「おい、やべぇぞ。これ」
原田が家を前にして、顔を引きつらせた。
それもそのはず。
その家全体に大きな大蛇がとぐろを巻いていたからだ。
当然一般人には見えない。
「おい、奏。あれが蠱毒か?」
「ううん。最後に残ったのは犬って書いてあったでしょ?」
「そういえば……」
みんなは顔を見合せ、力無く笑った。
これが本体でないなら、本体はいかがなものなのか。
怖気づいたわけではもちろん全くないが、なんというか、こう……。
脱力感めいたものに襲われているのは確かだ。
奏はそんな彼らの様子を省みず、ズカズカとその家の門を押し開いた。