誠-変わらぬ想いの果て-
惑う心は何処にぞ
「それと、奏。君にも客だよ」
「………」
レオンに言われずとも奏は気づいていた。
間違えるはずもない、この気配。
ずっと兄と慕っていた男の気配だ。
「やぁ、奏。おはよう」
「……雷焔彼方」
沖田が低く呟き、刀に手を当てた。
「あぁ、名前変えたんだ。皇(スメラギ)に。いい名だろう?」
………皇の意味は偉大な王、天上の神。
不遜なことだ。
「名を変えてくれて、これで心おきなく仇を討てる」
「珠樹。お前に僕は殺せない」
「何でそう言いきれる!!」
彼方の言葉に珠樹は激昂した。
体中から殺気が出ている。
しかし、彼方はそれを全く意にかけず、さらりと言ってのけた。
「お前が僕より弱いからだよ」
「っ!!!!!」
その言葉は珠樹にとって、屈辱以外の何物でもなかった。