誠-変わらぬ想いの果て-
「あぁーっ!!俺、何か今、すっげーむかついてんだけど!!」
「俺もだぜ!!」
「平助、新八。これはこいつらの問題だ。俺達が口出ししちゃいけねぇ。……ま、俺もだけどな」
原田はぼそっと付け加え、彼方を睨みつけた。
「だってよ!!奏が苦しんでんのだって、こいつが…」
「平助。私のことはいいよ。ありがとう。でもね……珠樹のことをそんな風に言う奴は許さない」
奏は怒りを現にした。
静かだが、烈しい怒りだ。
現状を全く把握できていない女でも、家で見せられた怒りと程度が全く違うことが分かる程だ。
「許すも許さないも、僕は本当のことを言っただけさ。おっと…もうこんな時間か。じゃあ僕は失礼するよ。用事があるんだ」
彼方は身を翻して去っていった。
奏はただ黙って見送るだけだった。