誠-変わらぬ想いの果て-
「我らは人間のためだけに働くのではない。時として、妖のためだけに働くということを忘れるな」
低く、それでいて心に重くのしかかる厳しさも持ち合わせた声音だった。
次はないぞ、そういう警告だ。
往々にして守られないことも多いが。
女は深く頷き、今度こそ振り返らずに去っていった。
「……ふぅ。今日非番だったのに、余計な体力使ったわー」
「君達、後で潮の所へ行って。報酬が出るから」
レオンの言葉に、みんなの目が輝いた。
「やりぃ!!」
「酒、酒買おーぜ!!それと上手い酒の肴だな!!」
「早く戻ろーぜ!!」
三馬鹿は懐が温かくなると知り、心も体もウッキウキだ。
こちらは疲れ果てたというのに。
相変わらず酒好きな奴らだ。
「あ!!ちょーっと待ってて。秋津、手伝ってよ」
「ええよ」
ミエは秋津を伴い、屋敷の中へ入っていった。
そして数分後、大きな衣裳箱を持ってきた。
なんか………ものっすごい嫌な予感が。
「さ、戻りましょ」
奏とは真逆に晴れやかな笑みを見せて、ミエは颯爽と門を開けた。