誠-変わらぬ想いの果て-



「私に着せるというなら、ミエ様。あなたにも着ていただきますよ?」




どうしますか?、と目で問う奏。


ミエは明らかに揺れていた。


自分がするのは嫌だ。


だけど奏のドレス姿は見たい。


だけど自分は……。



と、自分の中のもう一人の自分と戦っている。




「響、ちょっと」


「?」




珠樹が響を手招きし、隠れてこそこそ背後で何かやっている。


だが、奏にとっては今はそれどころじゃない。


ミエの返答によっては、自分にとっての一大事だ。




「奏、どうしても駄目ですか?」




憂いを帯びた響の声に、奏は振り返った。


すると、響は大粒の涙を流していた。




「響っ!?な、泣くな!!」


「奏、どうしても嫌なんですか?」




響は顔を手で覆い、鼻をすすっている。


響大好きな奏にとっては、自分が泣かせたので、非常に狼狽えさせられる出来事だ。



< 157 / 254 >

この作品をシェア

pagetop