誠-変わらぬ想いの果て-
「私に着せるというなら、ミエ様。あなたにも着ていただきますよ?」
どうしますか?、と目で問う奏。
ミエは明らかに揺れていた。
自分がするのは嫌だ。
だけど奏のドレス姿は見たい。
だけど自分は……。
と、自分の中のもう一人の自分と戦っている。
「響、ちょっと」
「?」
珠樹が響を手招きし、隠れてこそこそ背後で何かやっている。
だが、奏にとっては今はそれどころじゃない。
ミエの返答によっては、自分にとっての一大事だ。
「奏、どうしても駄目ですか?」
憂いを帯びた響の声に、奏は振り返った。
すると、響は大粒の涙を流していた。
「響っ!?な、泣くな!!」
「奏、どうしても嫌なんですか?」
響は顔を手で覆い、鼻をすすっている。
響大好きな奏にとっては、自分が泣かせたので、非常に狼狽えさせられる出来事だ。